忘年会(2)
息子は 息子なりにその仕事に 一生懸命向き合って 頑張ってたのに、全然認めてもらってなかったと、自分の努力したことは何だったのか、と、絞り出すように、呟いてた…
息子は 静かに、静かに 傷付いていた。
酔って動けなくなっていた息子が、動けるようになるまで、そして 落ち着くまで 抱き締めて あげることしか出来なかった。
『そんなことない、一生懸命頑張ってたのは、皆 知ってる!』
『社員だから、いろんなとこ覚えなきゃいけないからだよ』
こんなことしか 言えなかった。
そして、自分を否定する言葉しか口にしない 息子に 家族皆、お兄ちゃん大好きだよ!と、お兄ちゃんがいないと、だめなんだよと、一緒に泣くことしか 出来なかった。
『なんか、酔っばらっちゃって、夕べはごめん』
一晩寝たら 落ち着いたみたいだったけど、
私は心配で、心療内科 受診してみないかと、息子に 話した。
仕事は 多分 これからも色々あると思う。
面白くない事も 出てくると思う。
でもその度に 死にたいなんて 思ってしまうかも知れないのは、心にも、体にも良くない。それに自己否定がひどすぎる。というか、この時初めて《鬱かも?》と疑った……
この時、受診してれば……
どんなに嫌がられても、引きずってでも
連れていってれば……
仕事、辞めさせてれば……
私がきちんと動いて、息子を守ることができてれば、今も息子は 家族と一緒に笑ってたはず……
『もう 大丈夫、ちょっと酔っ払っただけだよ。それに そんなとこ 絶対嫌だ!いかないから』
息子の拒否は激しく、どうにも無理だった…。