最期の食事
40歳の弟が、縊死した時間は、早朝6時頃。
弟は司法解剖され、胃の中は空っぽだったそうだ……。
官舎で単身生活していた弟は、官舎では同僚に迷惑をかけてしまうと思ったのか、思いもよらない場所で決行していた。
場所が場所なだけに、最期まで、人を驚かせる弟だな、と……。
今、弟は、実家のお墓に眠っている。
そういう最期だったから、尚更 お供え物は欠かせない。
母は、お腹すかせたまま 逝ってしまった弟が
不憫で仕方ないようだ。何歳になっていても、可愛い息子だっただろうし……。
息子は、最後の仕事は、ご飯も食べれずだったが、帰宅してから、食事は取ってくれていた。
私が作った(しょっばい)親子丼。
後で、主人に出したら、
ちょっと、しょっぱいって……
いつも目分量で作るから、失敗しちゃった親子丼が、息子の、最期の食事。
なんか、申し訳無さすぎて、いつも、心の中で謝ってしまう……。
もっと、いろんな美味しいもの、食べさせたかったな……。
美味しい食事は、人を幸せにしてくれるはず……。
料理下手ではないと思うけど、上手!!ではない……。
作るのも、普通の料理。
お母さんがもっともっと、頑張ってたら、
お兄ちゃんも、頑張って生きてくれたかな……
お兄ちゃん、手抜き料理多くて、ごめんね……。
でも、ハンバーグと茶わん蒸しは、お気に入りだったよね…
お供えしよう……
息子が好きだったもの。
食べに来てね……
お兄ちゃん……