虫の知らせ
主人は、息子が高校三年の時に、車で一時間弱の所に単身赴任した。
忙しい職場だし、月の残業も軽く100越すときも頻繁だし、召集かかれば、休みだろうが、真夜中だろうが、関係ない。
私の感覚もマヒしてたんだろうな……
息子のつらさを解ってあげられなかった。
死亡宣告されて、警察官からいろいろ質問されてて、気付いたら、主人がいた。
何も話せなかった……ただ ただ、涙がとまらなかった……
『会いにいったら、署に連れてかれちゃった』
もう、病院にいても仕方ないので、息子が帰って来るときの支度しなきゃと
家に向かった。
唐突に主人が話し出した。
『今朝、家族の夢 見てたんだ。だけど 息子だけがいない。どこ探してもいなくて、なんか、凄い気になって、4時に目覚めたんだ。
それから、眠れなくて ずっと胸騒ぎしてた』って……。
離れて暮らしてた 父親には、知らせにいったのかな…
でもね、お兄ちゃん
お父さんの夢、知ってたよね。
お兄ちゃんと、居酒屋とか、赤提灯でも何でもいいから、二人でとことん、飲んで飲んで、いろいろ腹割って話したいって……
二人とも、普段あんまり話す時間なくて、でも、なかなか時間も取れなくて、
二十歳になるの待ってたけど、月一で、土曜にお父さんが帰って来ても、お兄ちゃんは仕事で……
そのうちって、思ってたけど……
お兄ちゃん、お父さんも毎日泣いてるよ……
みんな、みんな、お兄ちゃんに会いたいんだよ……