息子と過ごした大切な日々

2015年12月17日、21歳の息子が自死。
まだ信じられない、信じたくない愚かな母の懺悔の日々。

息子の人生

私の母は、夏に 両膝に人工関節を入れる手術をした。

なかなか馴染まず、ヘルニアも悪化して、毎週リハビリに通って来ている。

で、うちに一泊して、次の日またリハビリして、私が送って行く、というパターンが定着している。


『〇〇の人生って、なんだったんだろね……』助手席に座ってた母が突然言った。

家の片付けしてて、息子の写真が出てきて、

『あんなに可愛かったのに』

『あんなに笑ってたのに』

『ほんとに、なんだったんだろね、あの子の人生って……』


息子は精一杯生きた……

行き急いでしまったんだ……

そんな、否定するような、

悲しくなるような事、言わないでほしい……


同級生のお母さんが、

『弱い子だったからね………』


あなたが、息子を語らないで!!

そんな慰め、いらない……


息子は 生きてた……

確かに生きていた!


笑って 泣いて

21年という短い人生だったけど、


生きてた!!

私には光輝いていた!!



12月になってしまった……

息子がいなくなってしまった12月に……。


玄関にクリスマスリース飾る家がたくさんでてきた。


うちは、もう 飾らない……


なにも、飾らない……


お兄ちゃん、ただただ 会いたい……

一緒に 笑いあいたい……

手続き

息子が就職した年。4月に簡易保険に加入した。期間は10年で、年払いで14万弱だったと記憶している。


なんにも保険に入ってないのも不安だけど、自分では考えてないと言ってたので、満期の時、おりるお金で、車買い換えなり、なんでもいいけど少し何かの足しになればいいなと思い、月々もらうことにした食費から、払ってた(ほぼ半額)


全て、息子の為にと思ってた……



会社からは、本人死亡でも、少しだが、退職金が出るので手続きを取って下さい、と言われた。


そういえば、病院の支払いもあったな……。

30分の蘇生で、なんでこんなに高いんだろ……。

助かってたなら、一言も何も言わず、喜んで払うけど…………


戸籍謄本取りに行った時、手続きの関係で、機械からの交付が出来ず、窓口交付お願いしたけど……


最悪だった。


『何に使うの?

えっ、まだ若いってか、何、どうしたの?

病気?』


《関係ないでしょ!!》って言いたかったけど……


こんな、失礼な人いるんだ、と、ただ苦笑いだけした……


そして、謄本もらって、車で号泣してしまった。

だって、

《死亡》って………書いてる!!

《死亡》って!!

改めて、確認!?ダメ出しされたような……

悲しい悔しい気持ちがおさまらず、しばらく固まって泣いてた……。



後日もう一枚必要になったが、主人に行ってもらった。私はもうごめんだった。


簡易保険も、解約手続きにはならず

(一応、本人契約にしてたため)

最初は保険金請求手続きになってしまった……

免責期間だから、おりないのはわかってるのに……


後日、いろいろ確認しないといけないことがあって、局にきてもらえないか?と電話が来たが、1時間も長女を一人にするのは、この時、まだ怖かったので、自宅に来てもらった。


いろいろ聞かれた。私からすれば降りないのはわかってるのに、なんでこんなにいろいろ聞かれなきゃいけないのか!

言いづらいことも、何回も……!!と、やるせなかったが、女性の方もうっすら涙目になりながら聞きづらそうに、だったので、我慢した。


うちは、独身の息子だったから、手続きは少なかった。


でも、かなり堪えた………

煩わしかった………


でも、今は、何も無い……


たまに届く息子宛てのDMが、

何故か、息子が生きてた証みたいで……。

捨てることが出来ない……。


お兄ちゃん、いろいろ来てるよ

確認しにきて

確認しにきてよ!!

息子の部屋

忌明けになってから、息子の部屋を少しずつ整理してみようか、と思い 取りかかったが、10分でやめた。


服、ガンブラ、モデルガン、小さい頃はまってた玩具、カードゲームのカード、お出掛けの時買った物、ドラクエのフィギュア、そして、オーダーメイドで作って貰って購入したパソコン、etc…


なかには、これいつの間に?というのもあったが、基本、大体覚えてる。


いちいち思い出して、泣けてきて、片付けにならなかった……。


でも、そのままというのは、生活感ありすぎて それも堪らなかった。


娘達に頼んで、一緒にやることにした。


ゲームソフトも有りすぎるし、ゲーム機もたくさんあるので、売ろうかな、捨てようかなとブツブツ言ってると、

『売らないよ。全部、お兄ちゃんの形見だから、売っちゃだめ』と。


服も、これはお気に入りだった。

これ、よく着てたよね……。

と、半分以上残すことに。


結局、捨てられないものがほとんど……

軽く整理してみただけ……


ベットカバーや毛布洗ってしまった私に

『お兄ちゃんのにおい、なくなっちゃう……』

と、抗議の視線が……


ハッとした。

なんで、洗ってしまったんだろう……

あの子のにおいが……

生きていた痕跡、存在感が無くなってしまう……


でも、その時はまだ かすかに残ってた。


今は、ほとんど わからない……


娘達は、自分の椅子に、それぞれ選んだ、息子のパーカー かけている。


私は息子の免許証を自分のケースに一緒に入れて毎日持ち歩いている。


少しでも、少しでも息子を感じていたいから……


お兄ちゃん、今日は風、凄く強いよ……。

娘達、車で送って行こうかな……。


『また送っていくの?

ったく、甘いな~』


って、またお母さんに小言言ってよ……

言いにきてよ……