あの日
12月17日、5時40分、少し寝坊してしまって、焦って起きてきた。
居間のソファに夜勤明けの息子が座ってた。
いつもなら、お風呂に入って、寝巻に着替えて ゲームしてたり、スマホ見てたりしてるのに、寝てるみたい。
『お風呂入ってきなよ、また仕事でしょ』
返事はなかったけど、寝てるからかなと思って、妹達のご飯の支度にかかった。
でも、なんか気になってまた話しかけた。前より大きな声で。
『今 入ってくれなきゃ、妹達の準備とかぶっちゃうから、入ってきてー。』
やっぱり返事がない。おかしいな…と思って近付いた。
変、変だ なんか違う
『起きて、何してんの、起きて!!起きて!!!』
『何、何で、何で息してないの!何で何にも反応しないの!!』
『〇〇、〇〇、〇〇!!!』
私があんまり騒ぐから、妹達が起きてきた。
尋常ならない様子に、階段で、固まってる。
下の子が、
『お母さん、救急車、早く、早く救急車!!』
それから、あまり記憶がはっきりしない。
心臓マッサージは救急車がくるまでやった。
父親は単身赴任中、救急車には、三人は乗れないので、妹二人は留守番になった。
その時は、息子の事しか頭になかった。今、振り返ると、あの時、妹達は、どんなに心細くて、心配だったか……。
工場に勤務してた息子は、会社から、社外出向を命ずられたその勤務あけ、会社で、自分で管理してた、青酸化合物を服用して、逝ってしまった。