息子と過ごした大切な日々

2015年12月17日、21歳の息子が自死。
まだ信じられない、信じたくない愚かな母の懺悔の日々。

午後4時と午前4時

去年の今の時間、息子は出勤の準備をしていた。

私は休みで、長女も部活がないから、私が迎えに行って、もう帰宅していた。


出勤する息子の周りでうろちょろしていたような気がする。


戻りたい………あの日に戻りたい……

戻って、息子に大好きだよ……

会社やめてもいいよ、大丈夫だよ

お母さんは何があっても、応援するからって……息子に伝えたい……


お願いです…

戻して下さい……

私の息子、返してください……


今日焼香しに来てくれた社長さんに言いたかった


でも、言えなかった……


お兄ちゃん、もうすぐ、あなたと別離れた時間になってしまうよ……


当日の午前4時も悲しいけど、前日の午後4時も、お母さんには辛いな……


どうしたって、もう会えないけど……


お兄ちゃんの声が聞きたい

笑顔が見たい

あったかい体に触れたい


もうすぐ、出勤時間

もう二度と会えなくなるなんて

夢にも思わず、送り出してしまった………


戻りたい

戻って、止めたい……


お兄ちゃん、ごめんね

ごめんね……

救急車

今朝、琥珀の散歩をしていると、救急車のサイレンが鳴り響いてきた。


瞬時に、固まる私……。


6時30分から7時に朝の散歩を日課にしていると、意外にも、朝、救急車が走ってることに気付いてしまった。


でも、今朝は サイレンの音が近付いてくる。


土手から道路に移動しても、遠ざからない。


うちは、4丁目。3丁目に来ていた。


心臓がドクドク……。


もう涙がとまらなくなってしまった。


あの日、私は近付いてくるサイレンの音さえわからなかった。

ただ、4~5人の救急隊員の方が家に入ってきて、《あぁ、これで 息子は助かる……》なんて、現実逃避でしかない希望を抱いていた。


娘さん達は何年生ですか?と聞かれて

中三と中二です、と答えて、

3人は乗れないので、留守番してもらって下さい、と言われて


泣きじゃくってる妹達を置いて、一人 救急車に乗り込んだ。


お父さんに電話して!と叫びながら……。


息子の名前を聞かれて、教えて、

『〇〇さん、〇〇さん、聞こえますか?』


必死に蘇生措置してくれてるのに

何の反応もしない息子に

絶望感に襲われながら、泣きながら息子の名前を呟いていた……。


あの日から、救急車に出会うと 胸がギュッとしめつけられると同時に 動けなくなってしまう……。


もうすぐ、一年……。

まだ、たったの一年……。


これから、何年も こんな気持ちで過ごしていかなきゃならないのかな……


多分、死ぬまで……。

長いな………。

でも、これが、息子を死なせてしまった私への罰なのかな……。


ひどい罰だな……。

ひどい罪だから…?


罰なら、息子と同じ 《死 》を望むのに……


お兄ちゃん、

会えなくなって

もうすぐ、一年……

こんなに離れたことなかったのに……

お母さんの独り言、増えてきてるよ……

相づちうちにきて

お願い…… 声が聞きたい……

声、聞かせてよ…………

メモ

息子の初めての車は、パジェロイオの中古。


2~3年乗って、運転に自信ついてから、次は、自分の乗りたい車にしたらいいなと思って、20年程前から、ずっーとお世話になってるディーラーのNさんに探してもらった車だ。(息子が2才の頃からの付き合い)


家はずっーとNさんから車を購入している。


息子に至っては、納車の後、会社まで 息子の運転に付き合ってくれていた(若葉マークの超怖い運転だったのに)


息子の葬儀にも駆け付けてくれた。


遺された息子の車に主人が乗ると決めて、ライト交換やら何やら整備してもらったのだが、その時、車のシートの下のほうに落ちていたよ、と、息子の字で殴り書きされたメモを見付けてもらった。


多分書いた息子も忘れていただろうメモ。


朝早くて大変だとか、

仕事が間に合わないとか、

肌の痒さ、痛さ等

思い付くまま書いていたようだった。


そして、最後に

でも、人は 優しい、と書いてあった。


号泣してしまった……。

朝早くてとあるから、入社してすぐの頃。

最近のメモではない……。

思わず書いてしまったのだろうか……?


頑張りを認めてもらっていて、優しくしてもらっていて、どうして、こうなってしまったのか……。

出向の話がなければ……と、いつも、ここに戻ってしまう……。


今さら何をどう思っても、

どう振り返っても、息子は戻らない……。

けれど、やっぱり、

考えてしまう……。


お兄ちゃん、人生って上手くいかないね……

でも、人生って、そうそう上手くいかないもんだよ…ね…。


ねぇ、お兄ちゃん、

早く会いたいよ……

会って、話したい事、たくさんあるよ……。


早く会いたい……