息子と過ごした大切な日々

2015年12月17日、21歳の息子が自死。
まだ信じられない、信じたくない愚かな母の懺悔の日々。

告別式

告別式は 2日後の19日に決まった。主人が、息子の体が綺麗なうちに送ってやりたいと、火葬場の空きで決めたようだった。


もう少し、もう少しでいいから、傍に、一緒にいたかった…。


2晩、同じ部屋で 横になった。


何回も何回も 息子の顔、手、足 さすって、 なでで、抱きしめた。


いつも 温かかったのに、何回さすっても、冷たい……氷のように冷たいままだった……。


床屋に行く暇がなくて、のび放題で、毎日 寝ぐせが凄かったのに、

葬儀やさんに整えてもらって、オールバック?になっていた。


『かっこいいね』

『似合ってるね』

主人と 何回も何回も なでた。

もう、大人になってたから、ほんとに 久しぶりになでた。


密葬にしたいので、と、主人の職場にも、 町内の方にも伝えた。息子の会社にも伝えていたのだけど、職場の方が、沢山 お別れにきてくれた。


実感の湧かないまま、訳がわからないまま

終わってしまったような感じだった。


ただ、続いて行った 35日法要の後。

住職さんの法話で、


お寺を継ぐ前は教職についていて、いろんな生徒達を見てきた。

生徒は頑張っているのに、

皆と 同じことをしているのに、何故か どうしても うまく行かない子がいる。

その子にはなんの落ち度もないのに、上手くいかない……。


確か、そんなお話だったと思う。


息子のことかと思った……。


一旦 落ち着いた涙が また、止まらなくなった。


住職さんも、涙につまりながらの 法話だった。



大きかった息子は、小さな箱に 納まって

私達 家族と一緒に 帰宅した。

負の連鎖?

告別式も終わって しばらくたった頃。

新聞のお悔やみ欄に 実家と同じ町内の 青年の名前が載っていた。


まだ若かったし、何故か気になって 母に聞いてみた。


『そこの家ね、お爺ちゃんも、お父さんも自殺しちゃってね、それで、息子さんも 後追っちゃったんだよ』


絶句してしまった。

でも 分かってしまった。気持ちは よーく分かってしまった……。

顔もわからない、話した事もない人だけど、心が 胸が、苦しくなって……。

涙がとまらなかった。


連鎖、か……



家の子供達と同じく、私自身も三人姉弟。姉と私、そして 弟がいた。


弟も、単身赴任していた。東日本大震災の1ヶ月後、単身赴任を終えて 、家族の元に帰るはずだった弟は、一人 違う場所へ逝ってしまった。

観光名所になりそうな、物凄い高い橋で、縊死してた。


この時も、訳がわからなかった。


1ヶ月程前に、珍しく電話があって、近況を語りあってたばっかりなのに。


それが、なんで? どうして??

お嫁さんと、双子の子供達遺して、どうしてそんなことが出来るの……


あの時は分からなかったが、あの電話が 弟からのお別れの電話だったと 気付いた。


息子のことがあってから、いろいろ 狂ったように、ネット検索してて、

自殺は連鎖する?みたいな、遺伝じゃないけど、そういう家系が関係するみたいな記事を見つけた。


じゃ、私のせいじゃないか!

うちの血じゃないか!

やっぱり私だったよ……!!


弟の時は 感情のコントロールできるようになるまで 辛かった。


離れて暮らしていて、もう お互い家庭をもって、別々の人生を送っていたけど、

もう、何年かに一度会うくらいだったけど、でも、肉親の突然の死は、なかなか受け入れられなかった。


5年近くかかって やっと、溜め息で煮詰まった心をなだめれるようになったのに……


もう だめだ……

今回はコントロールなんて出来ない


私は 前世で よっぽど酷い罪を犯したんじゃないのか……


お兄ちゃん、ごめんね

ほんとに、ごめんね……

体温

息子はいつも、体温が高かった。


主人と息子と次女は暑がり。

長女と私は冷え性。


暑がりにあわせ、いつも 床暖の設定は低め。


『もう 1、設定あげていい?』と聞いても いつも、息子に却下される。

『もう一枚着ればいいし』


その通りなんだけど、なんかムッときて、

長女と私で、息子にくっつき虫。


長女はともかく、私に『くっつくな、キモ』と言って 逃げ回る息子……


毎日、なんとも思わず暮らしてたけど、

なんて なんて 幸せだったんだろう……


毎日 楽しかった。

仕事が、あんまりにも 忙しすぎて 脱力して帰ってきても、

ムカムカして 怒りながら 帰ってきても…

子供たちに癒された。


うちは、三人兄妹


三人いないと……


仕事でいなくても、夜勤ですれ違ってても、

息子の存在は 家のそこかしこに あった。


今は 感じられない……


また 寒い季節になってきた。


息子の 高い体温に癒されたい……